だめ67 映画鑑賞レポート「劇場版AIR」

思えばTVアニメ版Kanonが大コケした記憶も生々しい頃だったでしょうか。AIRが映画になるという情報が流れ、「映画1本にまとめられるわけが無い」「このキャラデザはどうなんだ」など否定的な意見以外を見た記憶も無く、本来2004年公開予定だったものが2005年までずれ込み、かついつの間にか放送が決まっていたTV版AIRに先を越された挙句TV版の文句のつけようの無い完璧な出来(私が劇場版を見た時点では5話までしか放送されていませんが、少なくともここまでの出来なら最後まで満足がいくものが放送されるに違いない、と全幅の信頼を寄せられるほど高いレベル)にもはやプラス要素を探すことすら難しいといった逆風吹きまくりの中、ようやく2005年2月5日から劇場公開が開始されました。

そして平日である2月10日、私は久しぶりに取った年休を有効活用するべく、映画館まで足を運んできました。今回はそのレポートを書きます。

映画館

2/5のスタート時に上映されている劇場は全国で6つ。その中で東海地区は名古屋駅近くのピカデリー4だけだったので、そこへ行きました。

ピカデリー4は総席数71の小さい小屋で整理番号付総入替制。スタート時間(9時55分)の30分前に会場に着いたのですが、私が買ったチケットは整理番号50番と結構な数字。最終的にはほぼ全席埋まっていた模様で、この日はレディースデー(女性のみ1000円の割引料金)ということもあり観客の1割くらいは女性でした。

…それにしてもピカデリー4の上映スケジュール、AIRは1日わずか2回で、そのほかに「テニスの王子様」と「カンフーハッスル」が各2回ずつ上映というもの。いくら満員とはいえ、1日のべ200人しか客を取れない上映ってのはどうなんだろう…。もう少しだけ大きい小屋を使っても客は入ると思うんですが…

グッズなど

1500円のパンフレットをはじめ、マウスパッドやステッカー、受注生産らしいTシャツ(どうせだったら劇中でも使ったステゴサウルス仕様だったらよかったのに…)などかなりたくさんありましたが、私が買ったのはパンフレットのみ。…ってそういえば映画館でパンフレット買ったの、逆襲のシャア以来のような気が…(苦笑)

観客

前述のとおり、約71人。女性の姿は1割くらいでしょうか。

内容について(ネタばれあり注意)

ゲームだと音声無しのPC版ですら10時間を越えるAIRの物語を、90分という限られた時間枠でどう表現していくのか非常に興味がありましたが、やはりというか当然というか、ヒロインを観鈴に絞った上で原作のトレースを諦め完全に新しい一つの物語を構築するやり方を選択してきました。以下に映画のあらすじを記します。

〜あらすじ〜

神尾観鈴は夏休みの課題として行なっていた自分の住む町の歴史や言い伝えを調べるフィールドワークの最中、1週間後に控えた夏祭りで一稼ぎするために街を訪れた旅の青年、国崎往人と出会う。なりゆきで神尾家の居候となり観鈴のフィールドワークの手伝いをすることになった往人。観鈴は往人と自分の姿を地元の伝承である翼人伝説に描かれている神奈と柳也に重ねあわせ、伝承と同じように二人はお互いへの想いを強くしていく。

…しかし幸せな観鈴にゆっくりと、しかし確実に暗い影が忍び寄る。観鈴を救う道を探して奔走するも最悪の手段しか取ることが出来ず自責に苛まれる観鈴の母、晴子。観鈴の想いに耐え切れず逃げてしまう往人。そして祭りの日、それぞれの思いが交錯した末の小さな事件が発生する――

 

話の組み立てとしては、物語のところどころで観鈴が往人に語る形で翼人伝説の話が挿入される構成で話が展開して行きます。90分という枠の中で物語を収め、かつSUMMER編を絡めるには妥当な構成といえるでしょう。

しかしここで重要なポイントが。物語を1から作り直す際にキャラの性格がほぼ全員、大幅に変更が加えられています。これも下記に箇条書き。

この作品を見るためには、開始10分までに「これは原作とは別物」と割り切れるかどうかが勝負の分かれ目でしょう。割り切れれば作品単体としてはそれなりに楽しめますが、割り切れなければ「違う! これは違う!!」とツッコミを入れ続けるだけの作品になってしまいます。まあ正直普通にやったら90分で完結させるのはどう考えても無理だし、原作と同じものやっても面白くないのは事実であって、「出来る範囲でよく頑張った」と私は思いました。観鈴にも神奈にも萌えましたし、なにより晴子がすばらしかった。欲を言えばここまでオリジナルにするならラストシーンでは観鈴を生かして欲しかったですが。往人も生きているので「往人が持っていた法術の力全てと引き換えに観鈴の命を救った」というありがちな展開でも納得できたし、そういう結末が見たかったですが。個人的には。

…ただ、この日の深夜放送されたTV版AIR第6話の出来と比較して見劣りは感じましたがね。とりあえず、TV版とは切り離さないと評価するのは厳しいです。

最後に一つ重大な疑問点を。翼人伝承のラストシーンで柳也が殺されているわけですが、あの展開では柳也の子供が出来ていない(神奈と肌は重ねていたが子供までは出来てないし、あの展開では裏葉と子作りなんてどう考えてもしてないはず)はず。あの展開では裏葉が法術を覚える理由もないし、はたして往人は誰の血を引いてることになるんでしょうか…?

結論

とにかく「原作とは別物のオリジナル作品」であることを納得できるかどうかが全てでしょう。私の判断基準からすればこれはOKラインなんですが、これをAIRだと納得できる人は恐らく少数派だろうし、なによりTV版AIRというどう逆立ちしても勝てっこないハイクオリティ作品が現在進行形で存在していることが劇場版AIRの不幸と言えます。

正直他人には勧めにくい作品ですが、私はDVD買います。観鈴と神奈と晴子のために。

最後にすごく余談ですが、私が映画館へ足を運んだのは少林サッカー以来実に1年半ぶり。映画が嫌いというわけではないんですが、本当に行かないなぁ自分。


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