だめ8 安っぽい正義感

8月13日から14日にかけて、関東では大雨が降りました。この時私は東京にいて直撃を食らい、びしょ濡れになりながらホテルに逃げ帰ったのですが、この大雨で神奈川県北部の川でキャンプをしていたレジャー客18人が増水した川に飲み込まれるという大事件がありました。一部では救助の初動が遅れた事に対しての非難が出ているようですが、この事件に関してはあくまでも再三の勧告を無視した素人の自爆事故であって、非難は筋違いだと思ってます。もともと警告を受けたときにきちんと退去していればこんなことにはならなかったのですから、厳しい言い方ですが悲惨な事故だとは思っても同情には値しないと思ってます。

さて、この事件についてニュース番組ではいろんな所のインタビューを流していました。その中の一つで、上流のダムの管理者へのインタビューがありました。雨量が増えすぎたためにダムから放流せざるをえなくなり、それでより水かさが増して結果的に18人は流されてしまったのですが、実は一度救助作業のためにダムの放流を止めていました。ですが、すぐにダムの水がいっぱいになってしまい放流せざるをえなくなります。考えてみれば当然の話で、もしも無理にダムの放流を止め続けるとダムが決壊してしまいかねず、そうなれば状況がよりまずくなるだけでなく各地におよぶ被害も甚大なものになることは容易に想像出来ます。だったらダムの許容量ぎりぎりを保つように放流を続けた方がまだマシであることも想像出来ます。ですが、マシとはいえ放流すれば確実に水かさは増してしまい救助活動に支障を来たすことも想像出来たでしょう。こんな状態で再放流を決断せざるをえなかったダム管理者の心情は察するに余りあります。

ところがこのインタビュアー、最後にダム管理者に対してこんな質問をしたのです。

「ダムを再び放流する際、すでに救助が終わってると思って放流したのですか? それともまだ救出されていないことを知ってて放流したのですか? 何故ダムを止め続けなかったのですか?」

おそらくこのインタビュアーは正義感でこの質問をしたのでしょう。ダムを止め続けていれば水は下流に行かず水かさも減るのだから止め続ければいい、要救助者がいるのに再び放流するなんて彼らの命よりもダムの安全を採ったのか、そう彼は思ったのでしょう。気持ちは分かります。ですが、この質問は苦渋の決断をせざるをえなかったダム管理者の心を酷く傷付ける一言であったと思います。要救助者に危険が及ぶことを承知で再放流を決断した時点で相当つらい思いをしたはずのダム管理者を、ちょっと考えれば分かりそうなことすら考えずに安っぽい正義感で愚問を飛ばしてさらに傷つけるようなインタビュアーの行為に対して、私は怒りを覚えずにいられませんでした。


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